日本IBM、POWER6+搭載のブレードサーバー新モデル

業界初のメモリ仮想化機能、導入・移行支援サービスなども発表

パワーシステム事業部エバンジェリストの岩田恵氏

 日本アイ・ビー・エム株式会社(日本IBM)は5月12日、POWER6+プロセッサを初搭載したブレードサーバーの新モデル「IBM BladeCenter JS23」(以下、JS23)と「IBM BladeCenter JS43 Express」(以下、JS43 Express)を同日より販売開始すると発表した。同時に、業界初のメモリ仮想化機能「Active Memory Sharing」を搭載した仮想化機能群「PowerVM Enterprise Edition」を発表するとともに、これにあわせてパワーシステム事業部の2009年重点施策も明らかにした。

 新モデルのJS23は、BladeCenterでは最高速となる4.2GHzデュアルコアPOWER6+プロセッサを2個搭載し、従来モデル(JS22)と比較して約20%の処理性能向上を実現。最大メモリ容量も従来比2倍の64GBとなっている。また、JS43 Expressは、JS23の拡張モデルで、4.2GHzデュアルコアPOWER6+プロセッサを4個搭載し、処理能力を従来モデルより約125%向上。最大メモリ容量は、従来比4倍となる128GBを搭載可能となっている。「とくにJS43 Expressでは、シャーシを2スロット使用するダブルワイド形状をBladeCenterで初採用しており、性能向上とスケールアップを容易に行うことができる。これにより、コスト効果と業務効率のアップとともに、稼働中プログラムの信頼性向上を図ることが可能となる」(パワーシステム事業部エバンジェリストの岩田恵氏)という。

 最小構成価格は、JS23が147万6825円から、JS43 Expressが295万4700円から。両製品とも出荷開始は5月22日を予定している。

IBM BladeCenter JS43 ExpressPower Systemsシリーズにおける新製品の位置づけIBM BladeCenter JS23/JS43 Expressの特徴
理事 パワーシステム事業部長の熊本義信氏

 一方、同時発表した仮想化機能群PowerVM Enterprise Editionには、業界初のメモリ仮想化機能Active Memory Sharingを標準搭載。この機能では、仮想化により分割された論理区画にあらかじめ決まった容量のメモリを割り当てるのではなく、メモリを共有化し、各区画のアプリケーションの稼働状況に応じて動的にメモリを割り当てることが可能となる。これによって、搭載メモリ容量を少なくでき、稼働率に応じてメモリ増設を行う必要もなくなるため、コスト削減や消費電力の抑制を実現する。このほかPowerVMでは、新たにIBM i、SUSE Linux Enterprise Server 11仮想テープをサポート。さらに、VIOSのサポートデバイスとして、SSDやIBMストレージ製品「DS5000」、グリッド構成のエンタープライズストレージ「IBM XIV」を追加している。

 PowerVM Enterprise Editionの最小構成価格は、5万4495円から。出荷開始は5月15日を予定している。

 これら仮想化を推進する新製品群の発表を受け、理事 パワーシステム事業部長の熊本義信氏は、「今回発表したハードウェア、ソフトウェアは、ともに優れた機能を備えているが、製品を用意しただけでは顧客に本当の価値を提供することはできない。この製品を具体的に、どのように顧客のシステムに適用し、どう構築していくかという販売支援施策も非常に重要になる」と述べ、2009年のパワーシステム事業部の重点施策として、「厳しい経済環境を配慮し、限定された予算の有効活用を支援」、および「パートナーとの協業推進による市場におけるIBM iの認知度向上」を掲げた。

 具体的な施策としては、限定された予算の有効活用支援に向けて、仮想化によるサーバー統合の推進、他社製品からの置き換え促進を図るため、スムーズな導入・移行を実現する新サービス「移行無償アセスメントサービス」を本日より提供開始した。同サービスでは、移行にかかる作業工数やハードウェア、ソフトウェアのコストを事前に算出し、マイグレーションアセスメントレポートを無償で提供する。あわせて、仮想化検証センターの機能拡張を行うとともに、新たなパートナー支援制度として「VPP制度」を開始した。「UNIX市場におけるAIX、Linuxパートナーとの協業を推進する制度で、年内に15社を目標にしている」(熊本氏)という。

 さらに、顧客のキャッシュフロー改善を支援するため、他社UNIXサーバーを引き取りPower Systemsの値引きに適用する「Power Reward」の条件を改定し、引き取り換算額を従来の2~4倍に引き上げた。このほか、リース時の段階支払いに対応する「Fast 10 リース・ファイナンシング」、およびリース支払いの半期据え置きキャンペーンも実施している。

 パートナーとの協業推進によるIBM iの認知度向上については、71社のパートナーが自主的に組織している「IBM iマニフェスト」との協業を強化するとともに、IBM iで稼働するソリューションをもつISVに対してセミナーやイベントを開催するなど継続的な協業を推進していく考え。

Active Memory Sharingの特徴スムーズな移行を実現するサービスキャッシュフロー改善を支援するサービス





(唐沢 正和)

2009/5/12 18:23